「音(おと)ちゃんとチョコちゃんのげつようび」(前編)
さく:いまだなおみ・おくさわきよ
きょうは げつようび。
なつのおわりの よく晴(は)れた日(ひ)。
音ちゃんとチョコちゃんは おでかけです。
もも色(いろ)のくつは 音ちゃん。
みどり色のくつが チョコちゃんです。
「音ちゃーん。」
何(なに)か 見(み)つけたみたい。
おおきな たてものがたっています。
「行(い)ってみよう。」
ぱんぱん ぎゅっ。
あたまを下(さ)げて おまいりです。
「ねぇ音ちゃん、神(かみ)さまに あったことある?」
「神さまって どんなだろうね?」
さらさら さらら。風がとおります。
「風(かぜ)のなかに いるのかな?」
「葉(は)っぱを むしゃむしゃ 食(た)べるかな?」
「水(みず)の音(おと)がきこえるね。」
ちゃっぷ ちゃっぱ ざー ざ ちゃっぷ ちゃっぱ ざー ざ
「わぁ。すいしゃだぁ。ぐるぐるまわってるよ。」
「水のおへやが ならんで ぐるぐる ぐるぐる。」
ざわぁざざぁ ざわざわ さーさ さら さらぁ
「木(き)がおしゃべりしてるね。」
「ざんざん じゃわじゃわ さらんさん♪」
じゃっぷじゃっぷ どーどど じゃっぷじゃっぷ どんど
「ねぇ、こっちからも 水の音がきこえるよ。」
ふたりは てくてく じゃり道(みち)をすすみます。
「あった!小川(おがわ)だよ。」
「あ、きらきら!」
ちいさな滝(たき)は じゃぷじゃぷ まるい水しぶきをあげて
いそがしそうに流(なが)れます。
「でこぼこだけど 行けるよね。」
ゆうかんなチョコちゃんは 川辺(かわべ)におりて行きました。
じゃんじゃん じゃぷじゃぷ じゃんじゃん じゃぷじゃぷ
音ちゃんは水に そーっと顔(かお)をちかづけました。
「音ちゃん、何か見える?」
「神さまー」
音ちゃんは おおきな声(こえ)で よびました。
「神さまは ここにいるのかな?」
自分(じぶん)だけに きこえる声(こえ)で いいまいた。
「神さまいた〜?」
チョコちゃんも ワクワクしています。
「ここにはいないみたい。」
「神さまって どんな かたちかなぁ?」
「まぁるい かたちかな?」
「まぁるいのかぁ。」
「うん。そして きらきらしているの。」
「神さまに お手紙(てがみ) 書(か)きたいな。」
「書きたい 書きたい。」
「行こう!」ふたりはいいました。
ずんずん道を すすみます。
「さわさわ ざーざざ するするん♪」
「ちとちと ざざざん さりさるるー♪」
ゆうびんきょくに つきました。
「わぁ〜、たくさんの切手(きって)があるよ。」
「形(かたち)もいろいろ、色(いろ)もいっぱい。」
「かえると うさぎと かえると かえる♪」
「かえるのおすもう かえるのおきゃく♪」
「はっけよーい わぁわぁ どすんっ♪」
「見て。 音とおなじ もも色の切手。」
「みどり色の切手も かっこいいよ。」
「このおじさんも はろうよ。」
「おでこの上には まあるい お帽子(ぼうし)。
 そこには羽(はね)が生(は)えている〜♪」
「ほら、見て!キラキラの虫(むし)だよ。」
「わぁぁ。にじの色みたい。」
「神さまの色?」
ふたりは、だまって じっと見ました。
「チョコちゃん、すごいの見つけたね。」
「うん!」
さぁ、お手紙を書きましょう。
「書けた!」
「うん。」
「神さまに どどきますように。」
ポストにポトン。